愛のカタチ


その場所に入ると、陽気な音楽が聞こえた。

「美波!」

野口先輩の顔を見つけて、足を進めた。

今日は予定ないから飲みに行こう、と突然の電話だった。

早く家に帰りたかったが、断る理由もなかった。

「急にごめんな。
デートとかなかった?」

カウンター席の野口先輩の隣りに座り、

「恋人がいたら、金曜の夜にOKしませんよ。」

と笑った。

恋人なんていない。

そう、いない。

「そうか。」

野口先輩はジョッキを二つ注文する。

懐かしい顔と、話しもしたかった。


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