愛のカタチ


「別にいいだろ。」

そうこの人は、こういう人なのだ。

週末はどちらかの家で過ごすようになっていた。

そんな関係だから、と思う私をよそに瀬戸さんは買い物やドライブなど、普通に誘ってくるのだ。

一度、会社帰りに二人で行った居酒屋で偶然に会社の数人とばったり会ってしまった。

興味を示すその人達の質問に瀬戸さんは「偶然そこで会った」とサラリと言い放った。

ホント、まるでそれが真実のように。

私までも、彼の言う事が真実なのだと思い込んでしまったほど。

その後、じゃあみんなで一緒に…と食事を共にし、瀬戸さんとはその店で別れた。

解っている。

そう、解っている。

だって瀬戸さんの肩書きは『支店長』なのだから。




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