愛のカタチ


「は――。」

「美波っ。」

私を呼ぶ声。

「今、帰って来たんだ。」

聞いてもいないのに。

「こんな時間まで、お疲れ様です。」

支店長会議の後は、何かと雑務が多くて暫く残業が続く事は解っていた。

だから、今日の私の予定は想定内だった。

「何してたの??」

「もう寝ようかと…。」

「早っ!!マジで?!」

「はいっ…。」

テンポ良く会話が続く。

「………寂しくない?」

えっ?!

「ははっ。いやっ、美波ひとりで寂しくないかな、と思って。」

「………。」

答えはわからずにいた。

確かにひとりで時間を余していたが、そこに『寂しい』感情はあったのだろうか??

< 58 / 96 >

この作品をシェア

pagetop