愛のカタチ


「ここの住人が、家庭菜園っていうの??
いや、屋上菜園か。
プランター持ち込んで野菜なんか作ってるみたいなんだ。」

ほら、と指差した先に並んでいるプランター。

まだ種蒔きをしたばかりか、その上にはビニールがかかっている。

きっとそこが一番陽当たりがいいんだろうな。

「それで、誰かが一休み用にでも持ち込んだんだろうな。」

…あ、このベンチの正体ですか?!

「かなりの腕前だよ。
トマトなんて甘くて美味しいし。何より新鮮。」

「勝手に食べてるんですか…??」

「あ…いや、トマトが食べて欲しそうにしてるかな。
今が食べどきよ、今が一番美味しいよ、って。」

自分で言って自分で笑う瀬戸さんにつられ、私も声を出して笑ってしまった。


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