えんざくら




桜の木の下にいること15分後、
奥から一つの人影がうっすらと
見えてきたのに気づき、
胸の鼓動がだんだんと早くなってくる。

その人影は、あの男の子だった。

男の子はさっきの私と同様に
小走りでこっちに向かって来る。
距離が近くなればなるほど、
胸の鼓動は早くなるばかりだ。

「…あれ?今日も来てたんだ。」

桜の木の下で座っていた私に気づき、
声をかけてきた男の子。

「う、うん…お気に入りの場所だから。」

「ふーん、俺もこの場所気に入ってる。同じだな!」

ドキッ

「同じ」ってゆう言葉にドキドキしてしまい
私は思わず黙り込んで、下を向いてしまった。
すると男の子は隣に座ってきて
私の顔を覗き込んできた。

「な、何…?」

「名前、なんてゆうの?」

「…桃村 さくら。(モモムラ サクラ)」

「「さくら」かぁ、桜の木とおんなじ名前だから覚えやすいな!」

「…そっかぁ。」

そんなことより顔が近いです…と
心の中で叫んでいた私だが
私も名前が気になったため
ついでに問いただしてみた。

「…君の名前はなんてゆうの?」

「俺は優也!高橋 優也!(タカハシ ユウヤ)これからよろしくな、さくら!」

いきなり呼び捨てにされて
ますますドキドキが止まらなく
胸が苦しくジンジンとする私。

「…う、うん。よろしくね、優也くん。」




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