えんざくら
その後、優也くんとはいろんな話をした。
桜の木の話、学校の話、家の話…
そして優也くんのことも、たくさん教えてもらった。
「今日はなんだか優也くんのこと、たくさん知った気がする♪」
と、るんるん気分な私。
その日はスキップしながら帰ったのを覚えてる。
それから次の日も、その次の日もその次の日も
放課後はあの場所に行って
優也くんとお話する毎日。
少ない時間だったけど、その少ない時間が
私にとっては物凄く大きな幸せに感じた。
そんなある日、
私はいつも通りあの場所で
優也くんが来るのを待っていた。
するといつも通り、奥から優也くんが
歩いてこっちに向かって来るのが分かる。
だけど、少し様子が変なのに気がついた。
なんとなくよそよそしいとゆうか、
恥ずかしみがあるとゆうか…
すると、優也くんは私がいるのに気がついて
急いで走ってこっちへ向かって来た。
「…はぁ、はぁ、はぁ……。」
「そ、そんなに急がなくても良いのに。」
「そ…そうはいかないんだ…!!俺にはもう…時間がないから!」
「…えっ?時間がないって?」
胸の中が、一気にざわめいた。