えんざくら




その後、優也くんとはいろんな話をした。
桜の木の話、学校の話、家の話…
そして優也くんのことも、たくさん教えてもらった。


「今日はなんだか優也くんのこと、たくさん知った気がする♪」

と、るんるん気分な私。
その日はスキップしながら帰ったのを覚えてる。
それから次の日も、その次の日もその次の日も
放課後はあの場所に行って
優也くんとお話する毎日。

少ない時間だったけど、その少ない時間が
私にとっては物凄く大きな幸せに感じた。

そんなある日、
私はいつも通りあの場所で
優也くんが来るのを待っていた。
するといつも通り、奥から優也くんが
歩いてこっちに向かって来るのが分かる。
だけど、少し様子が変なのに気がついた。

なんとなくよそよそしいとゆうか、
恥ずかしみがあるとゆうか…

すると、優也くんは私がいるのに気がついて
急いで走ってこっちへ向かって来た。

「…はぁ、はぁ、はぁ……。」

「そ、そんなに急がなくても良いのに。」

「そ…そうはいかないんだ…!!俺にはもう…時間がないから!」

「…えっ?時間がないって?」

胸の中が、一気にざわめいた。





< 3 / 6 >

この作品をシェア

pagetop