あいつが死んだ……

幼なじみ―茜


 たくさんの黒い喪服を着た人達の中に、徹のお母さん、直子さんの姿が見える。

制服を着たあたし達、徹の同級生以外では見覚えがあるのは、彼女と、今涙ながらに話している徹のお父さんだけだ。

 自殺……。

 自殺で死んだ人の身近な人は、恐らく大なり小なりの責任を感じてしまうものなのだろう。

徹のお父さんは、徹からあんまり家に帰って来ないと聞いていた事や、今の悲痛な顔から、間違いなくその責任を感じている事だろう。

そして、直子さん。

 彼女も感じているに違いない。

 いつも綺麗だった彼女は、目は腫れぼったくなっており、頬が痩せこけたように感じる。

 たった一日。

 徹の死体が見つかってからたったの一日で、彼女の顔はまるで別人のように変わってしまっている。

もちろん、行方不明の期間もあったけど、その時だって今の顔に比べたら、まだマシだった。

 きっと、あの時あたしが言った事を真に受けて、徹の自殺は私のせいだと、自分が全ての責任を背負った気になっているのに違いない。

こんな事になるなんて思ってなかったから、あたしは激しく後悔している。

 あの人が悪いんじゃない。

全く悪いというわけではないと思うけど、徹が自殺したのは、あの人のせいじゃない。

だってきっと、あたしのせいで徹は自殺してしまったのだから。


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