あいつが死んだ……

 あれは、あたし達が中学三年生の時だった。


中学三年生の秋、あたし達は修学旅行で京都に行った。

卒業間近という事で、みんな中学最後の思い出を残そうと楽しんでいた。

 外では、はらりと木々の葉っぱがはかなげに落ちて、綺麗な紅葉を見せ、また清水寺等の歴史的建造物では、その存在感に圧倒された。

旅館の中では、温泉に浸かったり、同部屋の子達とぺちゃくちゃ話したり。

その会話の中で、自然と恋の話になっていったのは言うまでもない。

「徹と剣之介、どっちが本命?」

 そう、よく聞かれた。

その度にあたしは、二人ともただの友達で、と弁解しなければいけなかったが、必死に弁解するあたしもなんのその、あまり信用されなかった。

 まぁ、いつもあの二人と一緒にいるのだから、しょうがないのかな、とあたしは思う事にした。

でも、どっちかっていったらどっちだろうかと、ふと考えてみた。

 徹は男前だし、優しいし、魅力があるし。

 剣之介は明るくて一緒にいて、物凄い楽しいだろうし。

とにかく、二人ともあたしなんかには勿体ないほど、男として及第点を越えているように思えた。

 って、あたし何考えてんだろう。あたし自身が二人の事を男として考えていた事に驚いた。


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