あいつが死んだ……

 高校に進学しても、あたし達の関係はそんな微妙なままだった。

 自分の気持ちが周囲に知れ渡っているとは、露ほども思っていないだろう剣之介。

 そんな剣之介の気持ちを知って、応援すると言っておきながら、特に何をするわけでもない徹。

 そして、そんな徹の事が好きだと気付いたけど、剣之介の気持ちも知っているため、どうしたら良いか分からないあたし。


あたし達三人は、それぞれに何かを胸に抱えて、高校生活を生きていたのだった。

だけど、実際にはあんまりそんな事を考える余裕もなかった。

 音楽が好きだった徹は軽音楽部に入部して、それに没頭していたし、あたしは陸上部に、剣之介は名前とは関係なくサッカー部にと、それぞれ忙しくて、一緒にいる時間は減っていった。

たまに顔を見かけたら挨拶して、休みが部活で潰れてなかったらどこか遊びに行って、帰りの時間が合ったら一緒に帰って、という事はあったが、それでも中学の頃に比べたら、一緒にいる時間は少なくなった。

 きっと、あたし達は気付いていたんだと思う。

これ以上一緒にいたら、きっとぼろが出てしまうと。

いつまでも三人仲良し、ってわけには行かなくなるんじゃないかと。

だから、忙しかったのは、もしかしたらあたし達のためには良かったのかもしれない。

いつまでも仲良しだって信じていられたから。



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