お嬢様の苦悩。
「……?」


その時、不穏な視線を感じた。

春樹は、飲み物を受け取ると足早に恵理夜の元へ足を向けた。


「……退屈、でございますか」

「え?」


恵理夜のいるテーブルで、春樹は、その手元を見た。

そこには、紙ナプキンで折られた茎のついた薔薇がいくつも集まり束になっていた。

無意識の恵理夜の癖が出てしまったらしい。
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