お嬢様の苦悩。
――その時、再び音楽が変わった。

軽快な音楽にダンスホールも急に華やいだようになる。


「春樹、ワルツの、」

「軽くお菓子でも、頂いてきましょうか」


またしても、恵理夜の言葉を避けて、春樹は歩き去った。

残された恵理夜は、痛烈な孤独を感じた。


そして、春樹が女性に声を掛けられているのが人の合間に見えた。

どうやら、ダンスの誘いを受けているようだ。

やや、強引な様子でダンスホールへと引き寄せられているのがわかった。


――社交場では、よくある光景だ。
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