お嬢様の苦悩。

――その時、また音楽が変わった。


「……踊りましょうか、春樹」


春樹は、何も答えない。

話を逸らしたことを怒ったのだろうか――

と春樹を見上げると、彼は見たこともないほど情けない表情をしていた。


「……ダンスは、不得手でございまして」


恵理夜の表情が固まる。
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