シンアイ〜彼と私に神の御加護を〜【完】
朝食を済ませ、私は家を出た。

颯太を待ちながら、教会の屋根の十字架を見上げる。



「…ん…?」



その刹那、胸がグッと握り潰されたように痛む。

でも……痛みはすぐに引いた。

残されたのは、寂しさに似た不快感。



「待たせた…」



わりと早く出て来た颯太。

私は眠そうな顔で腕を組んだ颯太のコートを掴みながら、「行こう」と声を掛けた。

自然と胸の違和感はなくなり、私は笑う。



「今日、デートしない?」



「映画なら行きたい」



…本当に映画が好きだね。

私は「良いよ」と返した。
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