高熱にベッド<短&番外>
Ep2.禁欲が狩り立てたモノ
それは、ある日のデートでの、レストランでの食事中―――
『那子この頃あんま食べないよね』
「……〜〜…してるんです」
私がサラダを食べていた時に、永樹さんに言われた言葉。
私は俯いて、小声で呟く。
『…なんて?』
聞き取れなかったらしい永樹さんは、食事の手を止める。
「…っ最近、太っちゃって…あの、ダイエットしてるんです」
あんまり見つめられては、沈黙に耐えられるわけもなく。
私は仕方なく永樹さんに届く声で伝える。
『えーー、そんなのしなくていいってば』
「甘やかさないで下さい…!」
『…甘やかしてないよ。本当に必要ないって』
そう言う永樹さんの表情は至って真剣で。
どうやら本当に私にダイエットをして欲しくないらしい。
『―――だって、柔らかいほうが俺嬉しいもん』
………そう、至って真剣に。