高熱にベッド<短&番外>
永樹さんのゆるい誘惑には負けずに、私は断固意志を貫き通す。
『……じゃあ今那子は禁欲中なわけだ』
「……、永樹さんが言うといやらしく聞こえるんですけど」
私の言葉に永樹さんはクスリと笑って。
『食べたいっていう欲求を、我慢してるんだから間違ってないでしょ』
なんで、また……。
「普通に食欲って言って下さい」
この人はこういう方向に持っていくのだろうか。
まさかダイエットをそんな風に言われるだなんて。
昼間のレストランで堂々と欲求とか言わないで欲しい。
『…そうだ、俺もしよっかなぁ』
「永樹さんがダイエットですか!?」
突然の永樹さんの提案に、私は飲んでいた水を吹き出しかける。
嫌味かこの野郎…!
永樹さんは食べるくせに細身。
バスケで体を動かしてるせいもあるんだろうけど、その割りには食べる量と体の肉のつき方が比例していない。
恐らく体質。
そんな人に、ダイエットととか言われたら、必死に我慢してる自分が馬鹿らしくなってくる。
『違う違う、ダイエットじゃなくて』
「え?じゃあ何を………」
話の流れ的にダイエットだった気が…。
『禁欲だよ、禁欲』
あ、そっちか…………。
…って、
…………は?