高熱にベッド<短&番外>
『電話、鳴ってない?』
「あ、本当だ」
唯がブレザーのポケットを指差す。
携帯を開くと、一さんからの着信で。
「もしもし」
『もしもし那子ちゃん?』
「はい、どうかしました?」
かけてきたからには何か用事があるのだろう。
『あのさ、永樹となんかあった?』
「へ!?」
それがまさか今丁度話していた内容だったら焦りもする。
「あの――――」
私は唯に話した様に一さんにも禁欲について話した。
『あぁ…だからか…。
いや、さっきさ、あいつと同じ講義でさ…なんかやけに殺気だってたからさ』
さ、殺気だってた…!?
でも、私の前ではそんな様子は一度も……。
『まーた永樹がやりそうな事だなぁ』
笑いながら言う一さんに疑問を持つ。
「禁欲が…ですか?」
禁欲が永樹さんがやりそうな事だなんて可笑しい。
一さんだって永樹さんの変態は知ってるはずなのに。
『禁欲がって言うか……まぁ後々分かるんじゃないかな』
意味あり気な間も、言葉も、気になって仕方がない。
なのに一さをから教えてくれないらしく、結局あしらわれて電話を切られてしまった。