高熱にベッド<短&番外>
『イライラする…』
大学でも、浮かぶのは那子の事ばっかで。
もどかしさにむしゃくしゃする。
頭を掻き毟って、晴らそうとしても授業の内容なんてまるで入ってこない。
俺って基本温厚だし、怒らない筈なんだけど…
今は些細なきっかけで直ぐに暴れてしまいそう。
それくらい那子が足りてない。
それは友人にも伝わってたみたいで。
『永樹…?お前が殺気だってると尋常じゃない空気が漂って恐いんだけど』
後ろに座っていたらしい一(イチ)が、遠慮がちに俺をつつく。
普段怒らない人が怒ったら恐い。って言うもんね。
『ん…?あぁ、禁断症状かもね』
俺が振り返って言うと、一は何か気付いたように少し体を引いた。
『那子ちゃん関係か…?』
『俺が那子以外で変化するわけないじゃん』
だからそんな質問まるで無意味なんだ。
一つしかない分かりきった答えを持つ問いを、されてるようだ。
『取り敢えず今、俺に触るのは注意がいるかな』