高熱にベッド<短&番外>
「え…ぃきさ…!ストップ…!」
『えー』
そろそろ酸素不足が限界に近づいた時、私は永樹さんの胸をドンドンと叩いた。
すると物足りない、と言った感じに渋々離れる永樹さん。
「ご飯…せっかく作ったんだから食べて下さいよ…」
『あ…それもそうだね。ごめん、夢中になっちゃった』
耳元で『那子があんまり可愛いから』って囁いた後、再び席についた永樹さんは、真っ赤になる私を見て笑う。
私が抵抗として永樹さんを睨む。
それを見てさらに嬉しそうに笑った永樹さんは、余裕有りげに料理を食べる箸をすすめる。
私の睨みなんてなんの効力もなくて。
寧ろ永樹さんを喜ばせるだけ。
そうは分かっていても反撃の仕方を知らない私はいつも永樹さんを参らせる事なんて出来ない。
『あー美味し。お嫁さんに来る準備でもしてるの?』
「はぇ…!?」
馬鹿みたいに大きなリアクションをしてしまった後で、永樹さんのニンマリ顔から、からかわれただけな事を直ぐに理解する。
「…馬鹿…!!」
私はこんなにも簡単に永樹さんに参らされてしまうのだ。