高熱にベッド<短&番外>
同窓会当日、私は少しお洒落をして会場である飲食店に来ていた。
懐かしい顔がずらりと並んでいて。
自然とウキウキしてしまう。
『那子だー!!』
「わっ!アミちゃん!!久しぶりー!!」
お互い手を握ってきゃっきゃきゃっきゃ言いながら飛び跳ねる。
「大人っぽくなったねー!」
『そう?わはっありがと!』
私がアミちゃんの染まった茶色い髪の毛をいじりながら言うと、アミちゃんは少し照れくさそうに笑った。
『あー!坂倉じゃん!』
「あっ……えと………」
私を見つけて手を振りながら近づいてきた男子。
親しみからして、恐らく知り合いなんだろうけど、
本当に本当に申し訳ないんだけど……………
名前が出てこない。
こんな人…いたっけ…。
『あれ?分かんない?俺だよ、ほら伊勢(イセ)だよ!』
伊勢君……あ、なんかちょっと思い出したかも。
「確か隣のクラスだったっけ…?」
『そうそう!………てか一応…中学の時お前に告白してんだけど』
「へ!?!?」
告白!?
…されたっけ。
全く覚えてない…
「あ…えっと…ごめん」
『なんで謝んの!?俺もっかい振られちゃった!?』
色々申し訳なくて謝る私を見て、湿っぽい空気を笑い飛ばす伊勢君。
告白された事は覚えてないけど、その笑顔を見て伊勢君をはっきり思い出した。
明るいキャラクターでいつも周囲を盛り上げて、女子にも優しく男子にも人望がある。
確かそんな男の子だった筈だ。