ヒトノモノ
二人の始まり
あたしは、物流関係の会社で営業事務をしている。
大学を卒業して、ずっとこの会社。
同期の子達は、営業事務の大変さを知るとすぐに辞めていった。
あたしは、事務って仕事が合っているようで、一度も辞めようなんて思ったことはない。
------------------
「はい、大洋物流、安達でございます。
・・・お世話になっております。・・・はい・・・少々お待ちください・・」
あたしは、向かいのデスクにいる木村さんに声を掛ける。
「木村さん、MMSさんの吉田さんからお電話です」
バチっと目が合って、「了解。」と微笑んでもらえるだけで嬉しくなる。
あたしが、会社をやめない理由はココにもあった。
・・そう。あたしは木村さんが好きだから・・
木村さんは、背が高く、柔らかな雰囲気で・・
涼しげな綺麗な目元に、整った唇・・・
ガツガツしてなくて、歳の割に落ち着いている。
とにかく、パーフェクトな人だ。