ヒトノモノ
「俺・・・実は結婚してるんだ。子供はいないんだけど。」
「・・・・・・」
「だけど・・・俺・・・優子が気になって仕方ない・・・」
「・・!!!!!」
あたしは木村さんの顔を見上げた。
「世間一般的にみて、間違ってる事を言ってるんだと思うんだけど・・・
優子が入社した時からずっと優子が気になってた・・・
この間、二人で抜けて呑んで・・その・・・そういうコトになって・・・
最低な事をしてしまったって思ってるんだけど・・・」
「・・・・・・」
「ここ暫く、優子をわざと避けて、気持ちを抑えようとしたりしたんだ。
・・でも・・どうしても、気持ちに嘘つけなくて・・・」
「・・優子・・・俺と付き合ってくれないか?」
あたしは、予想していなかった木村さんの言葉に驚きを隠せなかった。
でも。
いまのあたしにその告白を拒否する事は出来なかった。