ヒトノモノ
独占


週末はあたしにとって一番辛い・・・



土日は、啓介に会えないから・・・



土日は一体何をしているの・・・?



気になって仕方ない。






金曜日。




あたしは啓介の愛情に溺れた。




啓介の吐息、熱、指先・・・全ての感覚を記憶する・・・




これで、土日は乗り越えられる・・・






「シャワー入ってくるわ」




啓介がそう言ってベッドルームを出る。




「うん、あとでタオル置いとくね」




そう言ってあたしはリビングに向かった。




リビングで冷えたコーヒーを一口飲んだ時、かすかに聞こえたバイブ音にピクっと反応した。




・・啓介のジャケットから聞こえるバイブ音。




時計を見ると時間は10時を回ったところ。




会社からではない・・・




となると・・・奥さん・・・・?




ガス給湯器のランプを見ると、使用中であることがわかる。




・・啓介はまだシャワーから出てこないだろう・・・




あたしは、意を決してジャケットから携帯を取り出した。




携帯を持つ手が冷たく汗ばむ・・・指も震える・・・




携帯を開いてみると、【のぞみ】の文字。




どうやら電話ではなく、メールのようだ。






ダメだ・・・ダメ・・・絶対ダメ・・・




そう思いながらも、受信メールを開いてしまった。






【今日も帰り遅いですか】






その一文を見て驚いた。





あまりにも無機質で、事務的な文章だったから。




あたしはそのメールを削除して携帯を閉じ、そのままジャケットに戻った。






なんだろ・・・




なんだか・・・わかんないけど・・・優越感に似た感情があたしを支配しだす。




奥さんは・・・啓介に愛されてない??




奥さんは啓介を愛していない??








< 25 / 72 >

この作品をシェア

pagetop