ヒトノモノ
歓迎会も終盤。
【もうすぐ着く】って言ってた京子が来ない・・・
あたしは隣の同期の男の子に色々質問攻めを受けたり、係長や課長のお酌をしたり・・と、全く落ち着いて呑める状況じゃなかった。
・・あぁ・・しんど・・
課長が隣の男の子たちに「仕事ってのはなぁ・・・」って説教地味た事を言い出したのをみて、あたしはバッグを持って、トイレに立ち上がる。
トイレの前の休憩スペースみたいなところのソファーに座って、京子に電話。
・・・プルルルル・・・プルルルル・・・
・・・プルルルル・・・プルルルル・・・
・・出ない。
京子、来ないつもりだな・・・。
はぁ・・あたしもコッソリ帰ろうかな。
そう思って、携帯をバッグにしまった。
「安達さん!」
名前を呼ばれて顔を上げると、木村さんが立っていた。
「あ・・お疲れ様です・・・」
「・・全く呑んでなかったみたいだね。課長に捕まってたみたいだし・・」
「は、はい。そうなんです・・・」
「もしかして、帰ろうとしてた?」
「・・え?・・えっとぉ・・・」
・・うぅ・・バレテル・・
「俺もなんか飽きちゃったし・・出ようかな」
「え?!」
「あ・・。よかったら、店変えて呑まない?俺、なんだか、呑んだ気がしなくて・・」
「え・・?!」
「あ。無理ならいいんだけどね?」
・・こういう無理強いしないところが木村さんらしいな・・
「んじゃぁ・・ちょっとだけお付き合いします」
「よかった♪んじゃ、このまま店出ようか。」
「はい」
こうしてあたしたちはそのまま店を出た。