ヒトノモノ


その言葉と同時に向かいのデスクから視線をビシビシ感じた。




「・・この後は・・・」




向かいの席の啓介が普通の顔をしてるけど、こちらの会話を聞いているのもよくわかる。




「・・飯でもどうかなぁって思って。無理ならいいんだけど・・・」



「・・あ・・今日は・・」




と言いかけた時。




急にフロア内がざわつきだした。




「木村さーーーーん!!」




啓介は「あぁ?どした??」と顔をパソコンに固定したまま返事をする。








「奥様がいらっしゃってますよ??」








啓介はガバっと立ち上がった。




あたしも思わず立ち上がりそうだったけど、ソコは耐えた。






視線をフロアの入り口に向けると、そこには啓介の奥さんが立っていた。




< 55 / 72 >

この作品をシェア

pagetop