ヒトノモノ
その言葉と同時に向かいのデスクから視線をビシビシ感じた。
「・・この後は・・・」
向かいの席の啓介が普通の顔をしてるけど、こちらの会話を聞いているのもよくわかる。
「・・飯でもどうかなぁって思って。無理ならいいんだけど・・・」
「・・あ・・今日は・・」
と言いかけた時。
急にフロア内がざわつきだした。
「木村さーーーーん!!」
啓介は「あぁ?どした??」と顔をパソコンに固定したまま返事をする。
「奥様がいらっしゃってますよ??」
啓介はガバっと立ち上がった。
あたしも思わず立ち上がりそうだったけど、ソコは耐えた。
視線をフロアの入り口に向けると、そこには啓介の奥さんが立っていた。