ヒトノモノ
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あたしは、携帯の電話番号を変えた。
啓介との思い出が詰まった部屋も解約して、引っ越しをした。
あの日から、会社でも一言も口を利くことはなかった。
時々向かいの席から視線は感じていたけど、
あたしはソレに気付かないフリをしていた。
それから啓介は係長となって転勤して行った。
あたしのデスクには一枚のメモ用紙が置かれていた。
「今弁護士をたてて離婚を進めている。仮面夫婦だというのは事実だから。
だからといって優子を迎えに行く事はしない。今でも、優子を愛しているのには違いないけど・・・
優子には普通の幸せを掴んで欲しい・・・
今までありがとう・・・お幸せに」
啓介も自分の人生を歩み始めてるんだ。
あたしも・・・
自分らしく・・・
幸せにならなくちゃ・・・
あなたに出会うのがほんの少し遅かったね・・・
出会うタイミングが悪かっただけなのに・・・
あんなに愛した人はあなたが初めてでした・・・
あんなに溺れたのはあなたが初めてでした・・・
啓介・・・
さようなら・・・
おわり
おまけ→