『庶民♀♂御曹司』


「小堀よろしく」

「かしこまりました」


結衣の手を離そうとすると、一瞬だけ結衣は握っている手に力を込めていた。


「結衣?」


そう声を掛けると、すぐに手を振り払った。


「じゃ。帰ってるから」


そう言いながらも

いまだに下を向いている結衣。


「人と話すときは目を見て・・・」


そう言うと、結衣は広いリムジンの椅子に寝そべった。


「小堀さん。早く帰りたい」


「かしこまりました」


俺はそのまま車から離れて、見送った。


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