隣の狼にご注意を♥
物音の正体は、
あたしの姿に驚いたお父さんが、
飲んでいたコーヒーの入った
コップを床に落として、
割った音だった。
「な、何だっ!
そのスカートの短さはっ!
それに、化粧してるだろ!」
あたしのことを指さしながら、
怒鳴るお父さん。
よっぽど驚いているのか、
指先がわなわな震えている。
「だから普通だってばっ!
みんなこのくらいの長さですぅ!」
ギャーギャー言いあっていると、
リビングの扉がガチャッと開いた。
「――……おはよう。
…って椎菜!
何なんだその恰好はっ!!」
登場したのはあたしのお兄ちゃん。
黒川陸斗、20歳。大学生。