隣の狼にご注意を♥



物音の正体は、
あたしの姿に驚いたお父さんが、
飲んでいたコーヒーの入った
コップを床に落として、
割った音だった。









「な、何だっ!
 そのスカートの短さはっ!
 それに、化粧してるだろ!」








あたしのことを指さしながら、
怒鳴るお父さん。






よっぽど驚いているのか、
指先がわなわな震えている。








「だから普通だってばっ!
 みんなこのくらいの長さですぅ!」









ギャーギャー言いあっていると、
リビングの扉がガチャッと開いた。








「――……おはよう。
 …って椎菜!
 何なんだその恰好はっ!!」








登場したのはあたしのお兄ちゃん。





黒川陸斗、20歳。大学生。



















< 3 / 124 >

この作品をシェア

pagetop