隣の狼にご注意を♥
「そっか、そっか――!!
あたしってやっぱり天才かも!」
ひとりバカみたいに
ルンルン気分で教室に戻るあたし。
「あの子、天然?
それともバカ?」
「…両方かもね。
あ、あと鈍感も入ってるかも」
「へぇ~……」
「お、ハル気にいった?」
「ん~、ちょっと」
「えっ!
でも、しいは……」
「わかってるって!
慧吾のもんだろ?
…でも、欲しいものは手に入れないと
満足しないタチなんだよねぇ、俺」
「しい…、新たなライバル登場かもよ?」
―――なんて会話が廊下でされてる
なんて、つゆ知らず。
少しでも川崎くんの脳内に
あたしがいるのが嬉しくて、
口元が緩んで仕方ないあたし。
周りから見れば、ただの変態か
ただのバカか。
でも、そんなの今のあたしに
考える余裕なんてない。
これから、大変なことになるなんて
これっぽっちも知らずに―――……。