プラネタリウム
気まずい雰囲気のまま、ふたりは学校内を歩いていた。


秀二とさつきは「お二人のデートの邪魔しちゃ悪い」とふたりきりにしてくれた。


さつきは渋々、といった様子だったが。



こうして今、渉と真央はふたりで一緒に行動している。


かねてからの目的のデート。


でも今は、やっぱり乗り気じゃなかった。



ふたりとも、押し黙ったまま移動する。


「ちょっといい?」


その空気を破ったのは真央だった。


学校内を外れ、裏庭へと足を運ぶ。


先を歩いていた真央が立ち止まった。


「……ごめんなさい」


真央が振り返って、ぺこりと頭を下げた。


「え、何?」


事態が飲み込めず、渉は聞き返す。


やっと顔を上げた真央の目には、うっすら涙が溜まっていた。


一瞬、どきりとする。


「……どうしたの?」

「わたし、あなたのこと信じてなかった」


ますます分からない。


とりあえず話に耳を傾ける。


「髪飾り探してくれたのはものすごく嬉しかったよ。でもデートしようって言われたとき、正直驚いた。わたしなんか誘って何が楽しいんだろうって」


自虐的に真央は呟く。


想像していたことだ、今更驚くことはない。


「それにさつきから聞いたんだけど、その……渉くん、星南高校なんだよね」


その時真央が、小さく身震いしたのを俺は気付かなかった。


頭の中は、真央の言葉でいっぱいだったから。



『星南高校なんだよね』



その言葉が胸に刺さった。
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