プラネタリウム
傷
―――渉くんって星南高校だよね。
そう言ったとき、あの人は悲しそうな顔をした。
呆然と、驚いたような表情。
その後は覚えてないけれど。
けど、あの人はきっと失望したのだろう。
本当に最低な女だ―――。
「真央?」
はっとして顔を上げる。
そこにはさつきが仁王立ちして立っていた。
「あ、さつき…」
「なーにぼーっとしてんのよ」
「……ぼーっとしてた?」
えへ、と笑いかけると、さつきは呆れたように溜息をついた。
「最近多いわよ?何考えてるのよ」
こつんと額を小突かれる。
「痛っ。……うん、まあね…」
言葉を濁して俯いた。
すると、さつきが急に真面目な声で言った。
「あの渉って子?」
渉。
顔を上げてさつきを見る。
さつきの目はどこか悲しげだった。
「…ねぇ真央。聞いてくれる?」
真剣な目で言われて、真央は小さく頷いた。
「こんなこと言いたくないけど…。お兄さんのこと、覚えてないの?」
お兄さん。
覚えてるに決まってる。
あの人は―――。