プラネタリウム

ケンとの待ち合わせ場所はあの廃棄場所。


小走りで来た渉はケンを見つけて走り寄った。


「おー渉ー」


「待たせた」


渉はケンに1万円渡す。


「親御さん大変みたいだな」


ケンの両親は離婚していて今は母親が女手ひとつでケンと弟を育ててるという。


情けなどかけやしないが、友情くらいはある。


「………」


ケンが押し黙る。


何かと思い、渉は聞いた。


「どうした?」


思い切ったようにケンが顔を上げた。


その顔には後悔の色が見える。


「渉……悪い。俺、お前を騙しちまった…」


「は?どういうこと…」


動揺した。


ケンの言っている意味がわからない。


「お前、彼女と一緒にいたろ…。神楽坂真央って子」


見られてたのか。


もっとも、見られて困ることはしてないはずだが。


「その子の兄貴に…脅された」


「マジで?」


「早く行け!あの子が危ないぞ」


悪い想像が頭を過ぎる。



渉はすぐに走り出していた。
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