プラネタリウム
第三章
兄との対面
真央が襲われそうになったあの事件から一夜明け、渉は久々に学校へと向かった。
理由はただ一つ。
真央の兄に会うため。
「なあ、やめといたほうがよくね?」
秀二がついてきながら弱々しくそう言う。
いつもは強気な秀二でも、真央の兄ともなれば腰がひけるのも納得がいくが。
それでも渉は行くと決めていた。
真央を守るために。
「お前ここで待ってて。すぐ戻るから」
情けない顔した秀二の頭に手を置き、渉は校舎へと入っていった。
居る場所は大体検討はつく。
噂で屋上に居ると聞いたことがあった。
屋上への階段を上がる。ゆっくりと、しかししっかりした足取りで上っていく。
重い扉を勢いよく開けた。
「神楽坂紫苑、いるか?」
開けた途端、渉は言った。屋上には四、五人の生徒が溜まっていた。
その中から、神楽坂紫苑を探そうと一歩踏み出した。
「なんだ、お前」
「何しにきやがった」
「神楽坂紫苑だ?」
口々にそう言う生徒たち。その間にも、渉はくまなく神楽坂を探した。
しかし、神楽坂はいなかった。