プラネタリウム
きょとんとした顔で真央は立ち止まった。
「デート?」
「そ、デート。何でもいいって言ったじゃん」
「デート……」
真央が言葉を繰り返す。
よほど動揺してるのか、悩んでいるのか、真央は立ち止まったまま動かない。
「ダメ?」
目一杯甘い声を出してみる。
あともう一押しだ。
「コレ」
目の前に、一枚の紙切れが差し出される。
「……何、コレ」
怪訝な顔をしてその紙切れを受け取る。
青蘭学園祭。
紙切れには、そう書かれていた。
「え?学園祭?」
「そ、学園祭。そのチケット」
真央が微笑んで言うと、またすぐに歩きだす。
慌てて渉もついていく。
「じゃ、一緒に回ってくれちゃったりする?」
真央が、立ち止まる。
考え事をするときは、立ち止まっているほうがいいらしい。
暫くの沈黙の後、真央が小さく頷いた。
「もちろん。だってわたしのお礼だもん」
向き直って笑う真央を見て、目が離せなくなった。