プラネタリウム

きょとんとした顔で真央は立ち止まった。


「デート?」


「そ、デート。何でもいいって言ったじゃん」


「デート……」


真央が言葉を繰り返す。


よほど動揺してるのか、悩んでいるのか、真央は立ち止まったまま動かない。



「ダメ?」



目一杯甘い声を出してみる。




あともう一押しだ。








「コレ」





目の前に、一枚の紙切れが差し出される。



「……何、コレ」



怪訝な顔をしてその紙切れを受け取る。






青蘭学園祭。






紙切れには、そう書かれていた。




「え?学園祭?」


「そ、学園祭。そのチケット」




真央が微笑んで言うと、またすぐに歩きだす。



慌てて渉もついていく。



「じゃ、一緒に回ってくれちゃったりする?」



真央が、立ち止まる。


考え事をするときは、立ち止まっているほうがいいらしい。



暫くの沈黙の後、真央が小さく頷いた。



「もちろん。だってわたしのお礼だもん」



向き直って笑う真央を見て、目が離せなくなった。
< 6 / 25 >

この作品をシェア

pagetop