BLACK MAN
学者は討論会議室から走り出て、外に出た。外には桐田と伊原が険しげな顔で空を見ていた。
「伊原先輩、どうなるんですか。……あ、八代さん。」
桐田は学者の存在に気付き、会釈した。伊原も少し頭を掻きながら会釈した。どうやら教卓の上に置いていた例の紙を勝手に見た事を学者はまだ知らなかったようだ。
「分からん、しかし現状は昨年より不可思議な事が続いている。現に先程、生物研究員の慶縞が謎の閃光によって気を失っている。」
学者は再び空に目を向けた。気が遠くなりそうな漆黒、闇、に染まった空はやはり昨年と同様だった。
いや、宇宙が地球に未知な生命体を送り込んできたあの日から。