僕らの妹


「柚夏…

会いたかった。」


『なん で…?』

「柚夏。

俺は、どんな
柚夏であろうと
柚夏で
いる限り
柚夏のこと
愛してる。



それに…

柚夏 以上に
想ってるのは
俺の方。


気持ち的には
俺の方が
縛ってるから。」

抱きしめる
腕に
力を入れる。







『…』


「柚夏。」





そう 言いながら
柚夏の
体をゆっくり 起こし
向き合わせる
ように して
座らせ、
肩を 支えながら
目線を
柚夏に 合わせるために
中腰になり、



『柚夏…



愛してる。


俺は
許す限り
お前と一緒にいたい。


もう…

別れるなんて
言うな。



この世で
一番、愛してる。」



肩を 支えてる
右手を離し、
ジャンパーの
ポケットに
手を入れ、
箱を取り出し
右手だけで
箱を開け、
中を取り出し
柚夏の左手…


「マフラー、
ありがとな。

お返し。」


長くて白い
薬指に
リングを通す。





< 312 / 319 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop