CHERRy
「だからって、気付けよっ!」
目の前で広がるやり取りを見ていたら腕をツンツンと叩かれた。
「ヒロちゃん?」
「今のうち♪」
「っあー!!大翔!待てっ!」
「太一!今日は私の相手なのっ!」
ヒロちゃんの作戦によってお兄ちゃんはいなくなった。
手は繋がれたまま、いつもの道を走り行く。
いつもの道のはずが、誰かと一緒にいると違う。
いや、これは──…
「上手くいったー♪」
「はぁはぁ…ヒロちゃん、速いよっ」
「わりわりー、早くしないと太一、追ってくんだろ?
それに、」
「?」
「せっかくの加奈からの誘いだし、な?」
ヒロちゃんだから。
ヒロちゃんだから、生まれた気持ち?
感じた気持ち?
七菜、これが恋かな…
でもドキドキしてる。
目の前にいるヒロちゃんに、
「加奈?」
ドキドキしてる──…?