CHERRy


運悪く、その男に声をかけられてしまった。


…、シカトするわけにもいかないしね…


「あ、何ですか?」


「…若宮さん、ってお宅探してるんですけど…」


「若、宮?」


…私の家?!


「あ、ご存じですか?」


夕焼けに照らされていたはずの顔は微かに微笑んだ。

逆光で見えないはずの微笑みに少なからず、胸が高まった。


「あの…」

はっ!自分の世界に入ってた…


てか、若宮って言いましたよね、目の前の方。

ここらへんで"若宮"なんて私の家くらい。

きっと、私の家?


「多分、私の家かと…」


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