恋ウタ ~恋する歌子~
「……。」
何も言わない翔生。
答えは分かってる。
あたしは目をあげて、
翔生を見た。
…翔生は少しまゆを
よせていて。
「名前も知らん奴と付き合う気ないし。
…悪いけど無理。」
ストレートな返事は、
あたしの心に重くのしかかった。
…でも。
でも…でもでもっ!
こんなんで諦めるあたしじゃない。
「…神堂歌子、高2」
「は?」
「あたし、これから頑張るね!
少しでも
振り向いてもらえるように頑張るから!」
あたしは顔をあげて
翔生の驚く顔をみて言うと、傘とタオルをかえして
反対の道を走り抜けた。
…帰り道が分からないのは置いといて。
告白したんだ。
…フラれたんだ。
でも諦めない!
頑張って…いつかきっと
振り向いてもらえるように。
あたしは止んだ雨にも
気づかずに
走り続けた。