恋ウタ ~恋する歌子~
「え!?
誰か俺呼んだ?」
その時、
急に誰かの叫び声が
教室にひびき渡る。
あたしとあんずは
声のする後ろへと首を
回した。
「うわ…出たよ本人。」
あんずのその言葉に
あたしは目を見開いた。
翔生と同じ茶髪。
大きく丸い目をもつ翔生とは違って
少しつり目。
表情は明るく柔らかい
すべてが正反対の兄弟。
…この人が、小宮山優。
「おーい!誰か俺――」
「はいはい!
あたしが呼んだ」
あんずはまた
叫びだそうとした
小宮山優に向かって言うと
別に呼んだ訳じゃないけどね…。
と呆れた顔をした。