恋ウタ ~恋する歌子~
あたしの耳に
さっきの言葉は入っていなかった。
…今みた少年の鋭い目に あたしは呆然とたっていた。
…何で一目みた時から気付かなかったんだろう。
あの人、カッコイイ!!
短い茶髪に、大きな目。無口で無愛想。
異性のタイプど真ん中なんだけど!
あたしは口元を上げると、人ごみに紛れていく
その人の横に並び、見上げた。
「ついてってもいい?」 「…。」
質問に答えず、それでも嫌がることなく歩き進む少年に
あたしはまた一人で笑う。
名前の知らない少年の横で歩きながらも 、
あたしは
上がった口元をしばらく 戻すことが出来なかった。