恋ウタ ~恋する歌子~
どうしよう。
行っちゃう…。
せ…せめてお礼だけでもっ。
あたしは走って少年の前に立つと、
口元を上げると笑った。
「連れてきてくれてありがとう!」
…。
「別に連れてきた訳ちゃうし。」
って確かにそうなんだけどね。。
確かについてきたんだけれども。…でも
「でもありがとうっ!
良かったら、学年教えてくれない?」
「…。」
図々しくクラスを聞くなんて自分でもどうかしてると思うけど、
…知りたい。
「…三年。」
何で聞くんだよ?という顔をしながら
ぶっきらぼうに言うと、 ニコニコ笑うあたしを
通り過ぎて歩いて行った。
…っ!
教えてくれた!!
たったそれだけの事なのに嬉しい。
あたしは鼻歌を歌いながら下駄箱へと進んだ。