恋ウタ ~恋する歌子~



どうしよう。
行っちゃう…。


せ…せめてお礼だけでもっ。





あたしは走って少年の前に立つと、
口元を上げると笑った。


「連れてきてくれてありがとう!」
…。


「別に連れてきた訳ちゃうし。」



って確かにそうなんだけどね。。
確かについてきたんだけれども。…でも



「でもありがとうっ!
良かったら、学年教えてくれない?」
「…。」





図々しくクラスを聞くなんて自分でもどうかしてると思うけど、
…知りたい。


「…三年。」

何で聞くんだよ?という顔をしながら
ぶっきらぼうに言うと、 ニコニコ笑うあたしを
通り過ぎて歩いて行った。



…っ!
教えてくれた!!

たったそれだけの事なのに嬉しい。




あたしは鼻歌を歌いながら下駄箱へと進んだ。



< 7 / 31 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop