年下彼は手強いのです,

狂いかけたというよりは
狂いだしたのを止められず


重なるのは過去か今か未来か
それさえもわからぬまま


ただひとつ言えるのは
“過去は終っていなかった”


わたしはなんにも知らなかった
知らない方が幸せだったかな


§


「おもしろかった~」

「ああ、予想を反したラストだったね」

「パンフレットまで買う始末だよ」

「ハハッ、真尋ちゃん熱心に見てたもんね」


本当はドキドキして隣を見れなくて、前のスクリーンとにらめっこするしかなかっただけなんだけどね。


「どうする?このあと」

「えっ…と~…」


そのときだった。


――「輝?輝じゃない?」


甲高い女の子の声がして、その声に直ぐに輝くんが振り向いたのは。


< 101 / 209 >

この作品をシェア

pagetop