年下彼は手強いのです,
「で、逃げちゃった」
「どこに」
「登駕んとこ」
「………」
しばらく沈黙があって、何か変なこと言ったかなと不安になりかけていたら、思いもよらない言葉。
「なんで伊沢?」
「――えっ」
なんで登駕?って
………なんで?
考えたことないし、疑問にさえも思わなかったから。わからないけど。
――なんで、祐李じゃなくて?
わたしにとっての登駕の存在って、そんなに大きいものだったのだろうか。