年下彼は手強いのです,

「!」


輝先輩に笑いかけられて、ゆっくり息を吐く。入った。なにもかもが吹っ切れたような気がした。


「行けた…」


1人、口許を緩ませてたら逞磨がハイタッチしてきた。パンと掌が合わさる音が響き渡る。


「登駕はこうじゃなきゃな」

「サンキュ、逞磨」

「もう」


大丈夫なのか、と聞かれたから「吹っ切れた」と応える。すると途端に目を見開く逞磨。


「は?諦めんの?」

「…おう?」


言いかけたらホイッスルが鳴る。グラウンドに集まる時の逞磨の背中は何か言いたげだった。



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