年下彼は手強いのです,
第6章 絡み縺れたのは、赤い糸
*壊れかけた自分
「行ってきます」
目が覚めても、絢音さんや登駕とかのことが頭を回って離れないままだった。祐李に電話したとはいえ。
「……はぁ」
じんわりと汗がにじむ。重いかばんがいつもよりさらに重いのは、気のせいだと思いたい。
右に、左に足を動かして歩いていたら、会いたいけど会いたくない。そんな人がいたわけで。
「輝くん」
今日は野球部が朝練だからサッカー部は休みみたいだ。小さく呟いた名前は空気に溶けていった。