年下彼は手強いのです,

「ごめん輝くん、少しいいかな?」


お決まりの台詞で、わたしは輝くんを呼んだ。



§



高鳴るのは心臓と、必要なのは勇気だった。変わる勇気は登駕にもらった。だから。

――それでいいのかよ――よくない。


「今日は、お疲れ様」

「真尋ちゃんこそ。頑張ってって声、届いたよ。ありがとう」


にこりと笑ってくれる輝くんへの気持ちが、押さえきれなくなった。


好き、
好き、
好きだよ――……



ずっと伝えたかった。

夢の中で、言えた言葉。

現実では、言えなかった言葉。


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