年下彼は手強いのです,

「絢音…ちゃんでしょ?」


伝わった想いは、微塵にも砕けて。それがたまらなく苦しくて苦い。


「ごめん」

「謝らないで…いいのに」


スッと右手でこらえた涙。恋ってこんなに、脆いものなのかな――?


暫くの沈黙に耐えきれずに、わたしはゆっくり立ち去ることにした。



「ごめん……忘れて」



その一言を残して。無理にヘラッと笑って。



苦しい痛みと幸せな想いは

時に相反することがある。



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