年下彼は手強いのです,

「話しに来たの。ちゃんと……ちゃんと話してからメールしようと思って」

「今じゃなくても」


あと、三段。


「話、聞けよ」

「嫌だよ。わたし話いっぱいあるもん」


あと、二段。


「後悔すんの、お前だよ。今来たら」

「お前って―」


名前で呼ばれなかったことに無性に、理不尽に腹が立った。


あと、一段。


「なんで来てんだよ」

「……外、出よう?」


わたしは言ってるうちに登り終えて、止めようと捕まれた左手を無視して、右手でドアノブに手を掛け…た。


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