年下彼は手強いのです,

ゆっくり振り向いた先にはバシャバシャと水音を鳴らしながら走ってきた、彼。


「て、輝くん」


追い付いた、といつもの優しい笑みを浮かべてくれる彼にやっぱり好きだなぁと自覚する。


「朝、早いんだね」

「え、あ、うん…!」


言葉がつまる。胸が弾んで仕方ない。聞こえてしまわないだろうか。


「朝からなにしてるの?園芸?」

「えっと、水やったり肥料まいたり…でも今日は雨だから」

「俺もだよ、朝練ないんだけどね。早く起きちゃって」


癖かなと子供らしく笑う姿に見惚れた。――っ、男子に失礼かもしれない。でもかわいい。


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