年下彼は手強いのです,


――それはふとした瞬間にやって来て

そしてわたしを、たやすく。

取り込んでいったの。


突然のお誘いは、次の日の朝だった。珍しく朝練が休みのサッカー部なのに、早く来た輝くん。


「お、はよう」


にこりと笑いかけられて「おはよう」さえもどもらせてしまうあたしは相変わらずだ。


「朝いつも早いね?」

「そんなこと、ないよ」


今日は特別だった。新しく担任から花瓶に入れておいてと頼まれたアガパンサス。


「お、綺麗だな」

「ね」


言葉がつまって出てこない。



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